2012年9月15日土曜日

北海道新聞の社説『尖閣国有化 対抗措置の応酬避けよ』


正に、
  『日中両政府は尖閣問題を棚上げすることで
    対立が先鋭化するのを避けてきた。
    解決困難な二国間の問題では
    現実的な選択肢の一つといえる。』
この通り。

日中のいがみ合いは、早急に解決すべき、もちろん平和的に。まあ現実問題として『棚上げ』が賢い選択だと思う。核でも持って対立するんなら別だけど。


20120912北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/403459.html

尖閣国有化 対抗措置の応酬避けよ(9月12日)
 政府はきのう沖縄県・尖閣諸島の魚釣島など3島について地権者と売買契約を結び、国有化した。

 民間所有の島をめぐる日中間の対立に日本政府が一歩踏み込むことになる。中国の挑発に乗った石原慎太郎東京都知事の挑発に、日本政府が乗った形だ。

 中国側は強く反発している。これ以上問題をエスカレートさせるべきではない。冷静な話し合いで沈静化を図る外交努力が欠かせない。

 尖閣諸島は日本固有の領土だ。中国政府は、自国の漁船による日本の領海侵犯や船員らの不法上陸を取り締まる責任を果たしていない。

 石原知事は現状に憤慨し、尖閣諸島購入に動いた。中国批判で知られる知事の行動は、中国国内の反日感情を刺激し、問題の複雑化は必至だった。日本政府は「平穏かつ安定的に維持・管理するため」と、国有化がやむを得ない措置だと強調する。

 国際関係に配慮する観点から、知事に購入を断念させる道もあっただろう。国が地権者から賃借を続けながら、島周辺の管理を強化することもできたはずだ。国有化が問題解決の決め手とは言えない。

 日中両政府は尖閣問題を棚上げすることで対立が先鋭化するのを避けてきた。解決困難な二国間の問題では現実的な選択肢の一つといえる。

 先に揺さぶりをかけたのは中国だが、国有化となれば日本も「現状変更」に動いたことになる。中国に尖閣問題を国レベルの問題として国際社会に訴える口実を与えかねない。

 3島の購入価格は20億5千万円だ。2012年度予算の予備費から支出される。評価額はもっと低いとの見方もある。税金を使う以上、算定根拠をきちんと説明すべきだ。

 尖閣購入には、民主党代表選を控えた野田佳彦首相が、毅然(きぜん)とした外交姿勢を訴える意図も指摘される。自らの再選のために外交を利用するのであればあまりに無責任だ。

 日中のいがみ合いを国際社会は望んでいない。米国は尖閣諸島について「日米安全保障条約の適用範囲内」とする一方で「主権については特定の立場を取らない」と平和的解決を求めている。日本との間に竹島問題を抱える韓国でも、尖閣問題で日本を一方的に支持する声は少ない。

 中国の温家宝首相は「半歩も譲らない」と報復を示唆した。中国で日本関連の行事中止も出始めた。日本企業社員拘束やレアアース(希土類)の対日禁輸に発展した2年前のような状況は両国にとって不利益だ。

 一方の政府の行動が相手側の国民感情を逆なでし、新たな対抗措置を招くという悪循環を断ち切りたい。戦略的互恵関係を深化させるという大局に立って、解決を急ぐべきだ。

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