2015年5月9日土曜日

涼宮ハルヒの憂鬱SS 俺だけ一般人

俺だけ一般人
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キョン「考えてみたら、俺だけ一般人なんだな。」


今日は、あたし、いないけど、
ちゃんと団活しておく事!

ハルヒはそういうと、いきよいよく教室から出て行った、
掃除当番を俺に押し付けて。

掃除当番の仕事を終え、文芸部室に行った俺を、
宇宙人・未来人・超能力者が迎えてくれた。


部室に俺が入ると、微妙な感じで雰囲気が変わった。

少し前から気付いてはいたんだが。

まあ、そうだよな、
ハルヒ以外の俺達四人が、ハルヒの起こす騒動の火消しに、
躍起になっているとき、当のハルヒは蚊帳の外。

それと、同じなんだろうな。

たしかに俺は、宇宙人・未来人・超能力者と一緒に、
ハルヒ騒動の対応に追われてはいたが、
あくまで俺は、一般人。

俺がいない時には、三人で難しい話でもしてんだろうね。


メイド衣装でおいしいお茶を淹れてくれる朝比奈さん、
にやけスマイルでボードゲームを用意する古泉、
そして、いつもの定位置で本を読む長門。

ハルヒが今日来ない事を伝えて、いつもの席に座る俺。
あれ?ちょっと普段と違うな、

いつもならハルヒは、自分自身が団活に出れない日は、
今日は団活無しって宣言してたよな?

今日に限って、
『今日は、あたし、いないけど、ちゃんと団活しておく事!』
って変じゃないか?


まあ、よくわからんが、
ハルヒいないのなら、帰るか。
そう思って腰を上げかけた俺だが、
朝比奈さんのお茶と、古泉からのゲームの誘いを受けて、
席に座りなおした。
ちゃんと団活しろって、団長さんが言ってたしな。

朝比奈さんは編み物をしていて、長門はいつもの読書。
この頃の長門は、感情らしきものが芽生えてきたようで、
口数も増え、よく話すようになってはいるが、
今日は、無口なままだ。

古泉は、ゲームの盤面をみながら唸っている。
スマイル顔のままなのは恐れ入るが…
悪いがもう詰みなんだがね。

いつも通りの時間を過ごす。
いや、いつも通りじゃないな、
ハルヒのいない平和なひと時、こんなのも悪くないな。


長門が本を閉じる音、団活終了の合図だ。
いつもよりやけに早いが、こんな日は早く帰って、
家でのんびりしたいと、宇宙人でも考えるんだろ。

帰り支度を済ませ、4人で帰る。
俺と古泉の後を、朝比奈さんと長門がついて歩く。
ハルヒがいる時は、女性陣が先頭だから、いつもと逆だな。

なんて事を考えていると、古泉が話しかけてきた。
「たまには。こんな日もいいかもしれませんね。」

おいおい、いいのか、そんな事言って。
「た ま に は ですよ、たまには。
 僕にも、心の洗濯が必要です。」

そんなもんかね。
まあ、俺も、今日みたいな日は悪くないと思うな。
「彼女達も、そうみたいですよ。」

振り向いて見てみると、
朝比奈さんと長門が、楽しそうに談笑している。
あの長門が、楽しそうなのにも驚いたが、
朝比奈さんもめずらしく、長門に積極的に話かけている。

まるで仲の良い姉妹みたいだ。
こんな姿はめったに見られない、
カメラで撮っておきたいくらいだ。


そんな俺の視線に気付いたのか、朝比奈さんと目が合う。

いえ、朝比奈さん、楽しそうだったので、
ついつい見とれてしまいました。
「キョンくん、そんな事言ってると、涼宮さんにおこられますよー」
「その意見に賛同する。涼宮ハルヒは、重度の焼餅焼き。」

え、朝比奈さん、なんで俺がハルヒに怒られなきゃならないんです。
ってか、長門、お前そんな言葉どうして知ってる?
「本で読んだ。意味は朝比奈みくるに教えてもらった。」

朝比奈さん、最近の長門は、良く話すようになったとは言え、
まだまだ普通に無口なんですから…
もっと美しい言葉から教えてやってください、
あんまり、変な言葉を教えないでください。

「そんなー、あたしは、長門さんに聞かれて、
 団長席を指差しただけですよー
 でも、さすが長門さん、それだけでわかっちゃうなんてー」

やれやれ


そういえば、俺がいない時、三人はどんな雰囲気なんだ?
なにしろ宇宙人と未来人と超能力者だからな、
一般人の俺の前では話せない事もあろうし、
なにか難しい事でも話しているのか?

それとも、ハルヒや俺がいない時は、
まったりモードで楽しくやってたりするのか?
いまの、朝比奈さんや長門みたいにさ。

「うーん、
 涼宮さんが居るか居ないかでは、
 確かに、あなたを含めた僕達4人の雰囲気は違いますが、
 あなたが居るか居ないかでは…」
そう言って、古泉は言葉を濁した。

おいおい、そんな重い返事をするなよ。
気になるじゃないか。


「腹の探り合い」
長門がぼそっと言うと、
朝比奈さんと古泉の表情が一瞬引きつった。

「そうかもしれませんねー
 キョン君がいた方が、わたしは楽しいですね。」

「それには、僕も同意しますよ。
 長門さんとなら、なんら問題もありませんが、
 彼無しで、朝比奈先輩《先輩に傍点》と一緒だと、、」

そう言い合ってから、二人は吹き出して笑った。


「しかし、まあ、
 あの藤原氏の方が、まだましだと思う事がありますよ。」
「えー、それは、それは、
 わたしも橘さんの方が、まだ話が通じるって思っちゃってますよー」

「まあ、お互い、仕事の事ではいろいろありますからね。」
「ですねー」

そしてまた、二人は吹き出した。


なんか笑えないなぁと思っていると、
朝比奈さんと古泉から、説明があった。

仕事上で、いろいろ意見の違いもあるけれど、
個人的に対立しているわけではないそうだ。


まあ、ほんとに仲が悪いわけでもなさそうだ。

『同じSOS団員としての仲間意識もあるし、』
と言っていたしね。

Fin
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